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| いつでもあたたかなこの島に雪は降らな
い。ここに来て僕はまいにち朝を迎えるたびに目印をつけていたのだけれど、 もう冬なのにあいかわらず気温は下がらなかった。 今日はクリスマスだよ、と教えてあげたら班長はびっくりしていた。そうだよね、だって僕らの街では 雪の中で迎えるのがふつうだもの。班長はすこし考えて、晩ご飯がすんだらでかけようと言った。…なんだろう? 川べりのおおきな樹までくると、班長と僕は並んで草の上に腰をおろした。 「いいか、静かにしてろよ」 …やがてぽつぽつと光のつぶが森のあちこちからうかびあがってきた。 「わあ……」 まるで大粒の雪が空にむけて舞い上がって行くようだ。 てのひらに舞い降りるひかりをよく見ると、図鑑でも載っていない大きな蛍だった。 蛍達は大きな樹にとまり、いっせいに明滅をくりかえす。 街でみたどんなイルミネーションよりも、きれい。 「蛍って、この世に思いをのこして死んだ人の魂だとも言われるんだってさ」 班長はそう言った。 ひとの魂…それじゃ、この蛍達は 先生や、船の乗組員や、同級生達…みんなのうまれかわりなのかな? 「…あのね、みんな。僕、ゆうべ班長と結婚したんだよ。 みんなのぶんも、ふたりで頑張るから…ぜったい、どんなことがあっても頑張るからね」 やさしく光る蛍に僕はそっとささやきかける。 だから…みんな、見守っていて。 てのひらを離れて空へのぼていく蛍に、僕は口の中で呟いた。 「メリークリスマス…」 +Back+ |